わたしのマトカ
先日「今日はムーミン外交Day」イベントを観に行きました。
ホンモノのムーミンとミイが来る!というので、
映画『かもめ食堂』にハマっている友人家族と一緒に。
イベントには、通訳も兼ねて森下圭子さんもいらっしゃってました。
『かもめ食堂』では現地コーディネーターもつとめられたという
森下さんを、実はお恥ずかしながら初めてその会場で知ったのですが
まるで、“はんぱなく明るいポジティブ” が服を着ている、みたいな
なんと素敵な人なのだろうと、隣の生ムーミンを忘れるくらい
気になってしまったのでした。
会場には、お客さんエリアに『かもめ食堂』のミドリさんこと
片桐はいりさんもいらっしゃっていて、我が友人家族は
「ミドリさんだ!」と浮き足立っていたのでした。
(私が『かもめ〜』を観たのはずいぶん前で、実は記憶がおぼろげ)
話は(すっかり)変わって。
近所のレンタル屋さんが、旧作100円キャンペーン中だというので
ちょっと立ち寄ったわけです。そしたら偶然カウリスマキ監督の
映画『過去のない男』が視界にとびこんで来たので、借りまして。
観たらば主役の男の人が、どこかで見覚えがある。誰だっけなぁと。
思い出せぬまま観終わって無念。
そうこうしているうちに、図書館から「予約の本が届いてます」の連絡。
実は、前出のイベントで、片桐はいりさんをお見かけした晩に、
図書館に片桐さんの著書『わたしのマトカ』の予約を入れておいたのでした。
- 作者: 片桐はいり
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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いつも通り図書館に行って、受け取って、読み始めたところ、
これがたいへんな盛上りを。うっかり、そしてすっかり、
通勤時間と会社のお昼休みで一気に読んでしまいました。
おもしろくて、本当におもしろくて、もっと続いてほしかった!
話の中には、先日の生ムーミンを置き去りにするくらい
印象深かった森下圭子さん(ヒルトネンさん)がたびたび登場。
フィンランド人の“感情の通訳”が面白すぎます。
「これでもこの人たち、目いっぱい楽しんでるんですよ」
先日のイベントでお目にかかっただけだが、ヒルトネンさんが
笑顔でそう言っている姿が目に浮かんでしまった。
そして完全にうっかりしていたが、『過去のない男』ペルトラさんは
『かもめ食堂』に出演していたのでした。美味しいコーヒーの淹れ方を
教えてくれた男性でした。いずれの役柄もそのまま、
映画の外でも、同じように、期待通り、寡黙だったんですね。
(2007年年末に51歳で天に召されたと知りました。ご冥福をお祈りします。)
さて、なかでもいちばん好きな話は『路面電車に乗って』です。
ほっとしたり感心したりしているうちに、もう博物館が見えてきた。降りながら、わたしは振り返って、その運転手さんに頭を下げた。するとどうだろう。今まで仏頂面だった彼が、まるで奈良の古寺の仏さまみたいに、少しだけ口のはしを上げて、大きくふたつ、うん。うん。とうなずいたのだった。
これには痺れました。フィンランド人が、感情をあまり顔に出さないさまを
おもしろおかしく書かれている中で、この逸話には
ギュッとココロを掴まれるものがありました。
いま、まさにフィンランドに対しての興味のバロメーターの針が
ちょっとずつ上がってきているところでしたが、この話のお陰で
ぎゅーん!と振り切ったかんじです。フィンランド大好き!です。
はいりさんもヒルトネンさんもペルトラさんも、
この本を手に取っている間、わが脳内シアターに
所狭しと現れて、楽しませてくれました。
うんと遠いのに、気持ちはなんだかとっても近い。
この一冊に出逢ったおかげで、フィンランドは私にとって
「いつか行きたい国」から「近いうちに行く国」に変わりました。
フィンランド語教室にも通い始めちゃうんだから。
キートス!