たいした問題じゃないが ―イギリス・コラム傑作選ー

英語精読の勉強において、日頃著書にお世話になっている行方昭夫氏編訳の一冊。
 
以前から、イギリスには親近感を抱いていたわけで。
それはイギリス産のMr.ビーンと、日本産の志村けんだったり、
島国根性だったり、あれとかこれとか(適当)。
  
なかでもガードナーによる『「どうぞ」をつけるつけない』は
日本人にはかなり理解し易いものだった。
 

 この間の朝、シティーにある会社の若いエレベーター係が客をエレベーターから追い出し、その怪しからぬ罪で罰金を課されたという記事があった。問題は「どうぞ」をつけるかどうか、という事だったという。告訴人はエレベーターに乗ると「最上階」と言った。係の青年は「最上階―――どうぞ(ルビ:プリーズ)」と言うように要求したが、それを拒まれたので、客の指示に従わなかっただけでなく、エレベーターから追い出したのであった。

 
ただ、その礼儀の必要性に頷く日本人は多くとも、
追い出すまでするのが、違うところかもしれませぬ。
この章の中に登場する、バスの親切な車掌に私も逢いたい。
 
他にもルーカスの『思いやり学校』を読んで、
同じような学校が世界中にあればいいと思った。
 
あと、リンドの『時間厳守は悪風だ』には触れておかねば。
時間に余裕をもって行動できる人間は体力を常に温存して生活できるが
時間を守れない人間は、常に、飛び起きる瞬間から体力をフルに使い
ろくに朝食もとれぬまま走って電車に飛び乗り、息をつく暇もない。
そう言われればそうだ。(開き直った人間は別だが)
おもしろい考え方でした。
 
ちなみに『くまのプーさん』の原作を手がけたミルンのコラムも収められています。
 

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)