シズコさん 

この本に辿り着いたのは、先日読んだ鴻巣さんの書評集「本の寄り道」で
取り上げられていたからでした。人間、自分と似た悩みや問題を抱える人に出逢うと共感するものでして。
 

四歳位の時、手をつなごうと思って母さんの手に入れた瞬間、チッと舌打ちして私の手をふりはらった

それに近い経験をしたことがある。自分の場合は中学二年の時だから、前後の記憶も鮮明すぎる。あれは一生忘れられない。
 

 その人は私の顔を見てすぐ云った。「あなた、お母さんとうまくいってないでしょ」
 息が止まりそうだった。私なんて甘いもんじゃないか。それなのに人相がそうなっているのか。

少しながらも好意を寄せていた知り合いの母親が、手相を見ることが出来るというのでお願いしたら、苦々しい表情を浮かべながら、まっすぐ私に言い放ったのが「親との縁が薄いわね」。人相どころか手相にも出てるらしい。もちろん、この素人占い師を「お義母さん」と呼べる日が来る気がしないので、自然と息子とも疎遠になったのだが。

トラウマ部分の類似点はいくつも挙げ続けられるのだが、この本の内容はそれが目的に非ず、実母との和解、"ゆるし” で締めくくられている。果たして私はその境地に至れるのだろうか。母が「女」であることを “ゆるす” 日がくるのだろうか。
 
あいにく、まだ全く想像がつかないけど。
 

シズコさん (新潮文庫)

シズコさん (新潮文庫)