沼地のある森を抜けて

著者の『西の魔女が死んだ』『家守奇譚』と読んで、こちらの作品を手に取りました。

代々受け継がれてきたぬか床から、たまごが産まれてくるあたり
『家守奇譚』で経験した “不思議だけどこの本の中では普通” な感覚が
ぼちぼち蘇りながら読みすすめて行くと、途中から様子が変わってきた。
 
途中3回挿入される “シマの話” は、正直まだ消化しきてれいなくて
頭のなかで現在の “シマ” とリンクできていないのでした。
 

(以下ネタバレ)
 
 
クローン人間のはなしは、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』と
この本しか読んだことが無いのだけれど、前者は「クローンであっても
同じように感情があり、思考回路も同じなので喜怒哀楽も同等」なのに対して
今作品は、クローン人間はみな一様に感情表現が抑えめで、
ロボット的に生きてゆくような設定に、とてもSFっぽさを感じました。
それはちょっと意外なことだったなぁ。という感想。
 
あと、これを読んでから、ぬか床を作ろうという気持ちは無くなったかも。
だって、うっかり卵じゃなくても別の何かが生まれたら怖い。
 

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)

沼地のある森を抜けて (新潮文庫)