「物語 オランダ人」

"チューリップ" と "チーズ" 以外の情報が欲しくて、探して辿り着いた本でした。
10年前に書かれた本とはいえ、今のことを知るには
少なからず近い歴史は知っておいたほうがいい。
 
最初の読み始めは、あまりのオランダ dis っぷりに
(こんなに文句あるなら、とっとと日本戻ればいいのに)と
首をかしげたりしましたが、読み終わる頃にはいろいろと納得。
特に p216 の、"クラスによくいるタイプ" で、オランダと日本を
表した描写が、実に興味深かったのでした。
 
あと、この本を通してはじめて知った日本語、「吝嗇」。
お恥ずかしながらこの歳になって勉強させてもらいました。
なかなか肯定的な意味では使わないようですが、
「オランダ=吝嗇」が脳内にずりずり刷り込まれてしまいました。
かくいう自分も“吝嗇”なので、不思議と親近感が。
  
大きな声では言えまいが、昔イギリス人になりたくて単身渡英して、
半年でしっぽ巻いて帰ってきたときの気持ちが鮮やかに蘇りました。
当時の自分は、観光案内と音楽誌の情報だけで脳内ロンドンを作り出し
実際行ってみたら、別に、日本で出来ることしかしてなかった。
いつまで経っても自分が夢見たイギリス人になれなくて完全挫折で帰国の途。
(今思い返すと、そもそも自分が夢見たイギリス人像がおかしかった)
 
15年経って今度はオランダに興味を持った今、まずは観光ブックは置いといて
現地で生活している人達の話を読みあさりたい。
オランダという国、国民性に対して夢を抱かず、生活者となった場合、
自分はどんな人に囲まれて、どんなことになるのか知りたい。
そんな自分に、現実的な情報をこの本はたくさん与えてくれました。
きっと今では、苦い部分は少しく薄まっているだろうし、
逆に気をつけなければならない部分が変わっているかもしれない。
それでも行ってみたい。人生一度きりなのだもん。
 
日本企業の赴任者として高待遇な生活を望むのではなくて、
現地で €1 安いからいっこ先のスーパーまで行こう、な生活がいい。
著者の言葉が心に響いたのは、そこらへんの価値観が似ていたせいもあるかもしれない。
 

物語 オランダ人 (文春新書)

物語 オランダ人 (文春新書)