人はなぜ恋に落ちるのか?
副題が「恋と愛情と性欲の脳科学」だったもんですから、
きちんと脳の研究をベースとして語り進められる本なのかと
思って手にとりましたらば、ちゃんと研究結果が元にはなっているのですが
間に差し込まれる引用が甚だ多く、途中で結局何を言っているのか、
さらには、何度も同じ話を聞かされている(読まされている)気分で、
こんなにねちっこい本からは一刻も早く離れたくてムリヤリ斜め読み。
興味深い箇所も、ちょいちょいあったんですよ。例えば
ーーーしかしその聡明さを保っていられたのも、漆黒の黒髪にちなんで「夜」を意味するライラという名をつけられた少女と出会うまでのことだった。
へぇ!そういえば、ドラマ『デクスター』に出てくる“ライラ”は黒髪だなぁ、とか、
そして恋人の長所にたいしては、現実をはるかに超えて評価し、溺愛する。心理学者が「ピンクレンズ効果」とよぶように、色メガネを通して見てしまうのだ。
「色メガネ」は、万国共通なのか!“ピンク”だとむしろ、エロメガネでは、、とか、
おもしろいことに、妊娠しやすい女性は、ユーモアのセンスあふれる男性により惹きつけられる傾向にある。
。。。自分はいつもユーモアの欠如はなはだしい奴にしか興味を示してこなかった、ということは、、とか考えました。
それ以上何も思わず。題名に対する答えも、脳内成分のはなしが
途中ちょいちょい出てきていたけど、まどろっこしい引用が始まると
気が遠くなってぜんぶ忘れてしまった。
ねちっこく色々こねくりまわして話すのを聞くのが好きなひとには
きっと、たまらない一冊でしょう。
竹を割りに山へ行きたい。
人はなぜ恋に落ちるのか?―恋と愛情と性欲の脳科学 (ヴィレッジブックス)
- 作者: ヘレンフィッシャー,Helen Fisher,大野晶子
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 文庫
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沼地のある森を抜けて
著者の『西の魔女が死んだ』『家守奇譚』と読んで、こちらの作品を手に取りました。
代々受け継がれてきたぬか床から、たまごが産まれてくるあたり
『家守奇譚』で経験した “不思議だけどこの本の中では普通” な感覚が
ぼちぼち蘇りながら読みすすめて行くと、途中から様子が変わってきた。
途中3回挿入される “シマの話” は、正直まだ消化しきてれいなくて
頭のなかで現在の “シマ” とリンクできていないのでした。
(以下ネタバレ)
クローン人間のはなしは、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』と
この本しか読んだことが無いのだけれど、前者は「クローンであっても
同じように感情があり、思考回路も同じなので喜怒哀楽も同等」なのに対して
今作品は、クローン人間はみな一様に感情表現が抑えめで、
ロボット的に生きてゆくような設定に、とてもSFっぽさを感じました。
それはちょっと意外なことだったなぁ。という感想。
あと、これを読んでから、ぬか床を作ろうという気持ちは無くなったかも。
だって、うっかり卵じゃなくても別の何かが生まれたら怖い。
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/11/27
- メディア: 文庫
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発達障害に気づかない大人たち
本当に助けを必要としている人にとって、手を差し伸べてくれる一冊だと思う。けれど、それをずるく利用する人にとっても都合のよい一冊にもなっている気がする。受け手側の良心が問われる。
- 作者: 星野仁彦
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2011/04/02
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フィンランド 豊かさのメソッド
何冊か、他のフィンランド本を読んだ後だったので、特に新しい情報は無かったけれど、やはり “日本人的な日本人にとって、さほど(比較的に)苦労なく理解しあえそうなイメージの国”、という印象は変わらず。
そういえば、日本人としては割と普通に発する「うらやましい」という言葉に驚かれたという。そういえば確かに彼らは肩に力が入っていない。寒さに凍えて力が入るということじゃなくて。
親子関係の距離感について。オランダに関する本を読んだときも、この本のときも、似たようなことが書かれていた。親子はあまり同居しないが、コミュニケーションは日本より多い。老後は子供が面倒みる、というよりはプロにまかせる。個人主義の国民性がベースとなって、現在の社会システムが作られたのだろうと思う。日本はその社会システムだけ真似しようと、税金上げればどうになかるようにいわれているけど、こんなにべったりお互いに依存し合う国民性に、突然そんなドライなシステム持ってきても上手くまわらないのでは。
先日の池上彰さんの特番で「税率がべらぼうに高いけれど、老後の保障が手厚い国は、自分の老後を自腹でまかなう必要が無いので、日本みたいに汗水たらして貯金するという考えが無い。だから高い税金でも甘んじて払う」と、ざっくりそのような話があって(北欧全般の話だったか定かでないが)、目からウロコが落ちた。「確かに、現在のシステムへの切り替え時には、一時期苦労を強いられた世代はあったとは思います」というフォロー。いまの我々がその“一時期苦労を強いられた世代”で済めばいいけどなぁ。
話がとりとめもなくなってしまった。
- 作者: 堀内都喜子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07/17
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家守奇譚
参りました。
この本に逢えたことを神に感謝します、おお神よ!くらいの勢いで。
以後、我が本棚に鎮座し続ける一冊になるでしょう。
主人公が、かくかくしかじかの事情により、
あるお家の家守として暮らしているうちに、
お庭の植木、ひとつひとつが主役になって話が進む。
よって章のタイトルが、「サルスベリ」「都わすれ」「ヒツジグサ」..「白木蓮」と続く。
自然をよく見つめた物語なのかな、と思いきや
見つめまくって、ぐーっとその先の、超自然な域まで。
河童に狸に狐に子鬼。犬は鳶に乗って帰ってきた。
全てが、なんというか、普通に当たり前に存在する。
羨ましい世界。読んでいる間、本当に愉しかった。
本編を堪能したあと、吉田伸子氏による解説を読んで
なんだか「ガッテン」した。ボタンをばんばん押したいくらい。
「分かっていないことは分かっている」ことを、「理解はできないが受け容れる」ことを、ごく当たり前のことのように身の内に持っている征四郎がいるのだ。
この一文を読んだ時に、「サザンカ」の章で、主人公 征四郎が
『世界の風土病』という本を読むくだりを思い出しました。
ここから先は、頭のなかでは答えに辿り着いているのだけど
うまく言葉で説明できないや。
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/28
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なぜ記憶が消えるのか 神経病理学者が見た不思議な世界
Amazonでおすすめ欄に掲載されて、興味深いテーマだったもんで
図書館で予約したら、既に区立図書館の「保存庫」にしまわれていた。
取り寄せてみたところ、23年前に出版された本と知りました。
本物の精神科医による本。各章は、病名ごとに設定されている。
第1章に挙げられる病名は「一過性全体健忘」、第2章は「ラチリスム」、第3章は「パーキンソン病」、第4章は「鎖骨下動脈盗血症候群」、、と14章まで続く。おそらく、一章ごとに小説一作品できるのではないかと思うのだけど、そこはお医者さんだからなのか、読み手を無駄に期待させるでもなく、あっさりした味付けで、事実に沿ってすすめられてゆく。ある意味、ネタの使い方がとても贅沢な一冊。
第2章の「ラチリスム」(現代では “ラチリズム” という呼び名の方が一般的らしい)を読んでからは、正直まめを食べるのが怖くなった。ある特定の種に「神経毒」を持つものがあるなんて知らなかったもの(20年以上前の本だから、現代でもまったく当てはまるとはいえまいが)。大好きな豆を山盛り食べていたら、、という話じゃなくて、戦時中の強制収容所で栄養源として大量に与えられていたヤハズエンドウが、その神経毒で彼らの足先から麻痺させ、歩行障害が始まり、死に至らしめたという。
※本の中では「ヒヨコマメ」となっていたけど、今われわれがよく目にする「ヒヨコマメ」とは異なるようです。一安心。
第6章に出てくる「ハンティントン病」(現代では “ハンチントン病” が一般的)。身近で出逢ったことがない病名だったが、海外ドラマの『Dr.HOUSE』にて、研修医?13番がハンチントン病という設定だった。ドラマで扱われるくらいなので、治療すれば完治するものかと思っていたら、それは今の時代でもなかなか難しいようです。
で、いま感想書きながら思い出しましたが、私はタイトルにある「なぜ記憶が消えるのか」を知りたかったのだけど、確かに副題にあるとおりこの本は「神経病理学者が見た」なので、「脳」じゃなくて「神経」の話だったんだな。
うっかりでした、というオチ。
- 作者: ハロルド・L.クローアンズ,鴻巣友季子
- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 1989/10
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映画字幕は翻訳ではない
いよいよ読んでしまいました。
以前通っていた映像翻訳学校で「読みましたよね?あたりまえですけど?」と
言われてからというもの、常に(隠れ反抗期継続中)のかわいくない生徒の自分は、
完全にこの本を手に取りたくなくなり、今日まで距離を置いていた一冊でございました。
が、今度の転校先の先生も、話の端々に清水俊二さんの著書が登場するので
(この先生が言うのなら)と読ませていただきました。アマノジャク。
しかしこの本は読んでおいたほうがいい。話に出てくる映画のタイトルは
観ておいたほうがいい。歴史を知らずに、新しきを築けないというのは
こういうことなのかなと思いました。ざっくりした感想で恐縮ですが。
私たちはすでにルールも環境も整ったところから学びをスタートしたけれど
そのルールはどうやって蓄積されてきたのか、どんな背景があるのかを
一旦吸収させてもらってから、現代に馴染ませても遅くはない。
と、思った次第です。
- 作者: 清水俊二,戸田奈津子,上野たま子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/07
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